2022年11月23日(水)
会場:龍国禅寺(福岡県糸島市二丈波呂474)
身体表現/ダンス 山田健一
身体の感覚に意識を向け
そこで立ち上がる自らの動きに耳を澄ませ
絵画製作やダンス/身体表現を行なっています。
ー芸能の始原からー
古代から人が感じてきたその場所への憧憬
生まれる前にいたところ
そしてまた還るその領域で踊ること
<経歴>
東京生まれ
長唄の唄うたいとして活動
2020年 糸島に移住後、
絵画/身体表現を始める
葛糸で繋ぐしつらえ 烏山結貴
植物と人々の暮らしを繋いだ
空間・ものごとを提案しています
ー植物と共にー
身近な植物の恵みを
今の暮らしに取り入れることで
そこにある
豊さを知るきっかけをつかめたら
<経歴>
2011〜現在
東京にて「なげいれ花」を学ぶ
大井川葛布さんにて「葛糸づくり」を学ぶ
2020年 故郷糸島に戻り、
植物と人々の暮らし「ものごと」を繋ぐ活動を始める
【水たまり】
「あそこは通っちゃいけないよ」と
誰か
大事なひとに言われた気がしていたので
近寄らなかったけれど
そこにいつもきれいな水たまりのあることに
わたしはもう
ずっと前から気がついていた
晴れた日の空から
ぱらり
ぱらりと降る雨
それは誤って空から落としてしまった
昔に生きたあのひとの
記憶や
これから生きたいあのひとの
願いの
一片(ひとひら)みたいで
だからその
水たまりはきっと
たくさんのあなたと
たくさんのわたしとでつくられた
宇宙の秘密
あの日わたしはもう我慢ができなくなって
投げこんでみた
わたしの身体
感覚の今一瞬
とりあえずのひとかたまりを
光波立つ水面(みなも)をくぐり
すっと
わたしは一面に拡がった
無数の鳥の鳴き声
色の奔流(ほんりゅう)
遠くの銃声
こどもたちの駆けだす時の
あの底抜けに明るい不協和音に
幾時代も変わらずに吹き続けた
遠くの星の激しい風
あたたかな闇と
ローソクの元
家族の歌うささやかなハッピーバースデー
そのすべてが
しばらくの間のわたし
そのものだった
水たまりから上がると
わたしの身体は少し疲れていた
けれどもなんだか気分は愉快で
「パタチンドラッ!」
なんて思わず叫んだ
詩 山田健一
撮影 山口彰久